
故人が遺した品々を整理する作業は、単に物を片付けるだけでなく、故人を偲び、その人生に思いを馳せる大切な時間でもあります。
しかし、その過程で予期せぬトラブルとして「ネコババ」と呼ばれる着服行為が発生するリスクがあることをご存知でしょうか。
大切な遺品を巡る不正は、ご家族の悲しみや不信感を増幅させ、相続や故人への敬意を損なう深刻な問題へと発展しかねません。
ここでは、遺品整理におけるネコババ着服のリスクと、安心して整理を進めるための具体的な対策を解説します。
遺品整理の現場では、親族や関係者、さらには業者といった多様な立場の人が関わるため、ネコババ着服のリスクは常に存在します。
親族間では、遺産分割への不満や経済的な事情、あるいは「自分にも権利がある」という心理が働くことで、不正行為に及ぶケースがあります。
また、故人の身近にいた友人や介助者など、財産状況を把握していた人物が不正に手を出すこともあります。
最も狙われやすいのは、現金や貴金属、宝石類など換金性が高い品々です。
これらはタンス預金として現金が保管されていたり、仏壇や衣類のポケット、金庫や箱の中などに隠されていることが多く、整理の過程で発見された際に持ち去られる恐れがあります。
また、ブランド品や骨董品、商品券や記念切手なども小型で価値が高く、不正に着服されやすい対象です。
故人が生前に「大切にしていたもの」が狙われやすいため、整理の前に保管場所を把握しておくことが重要です。
ネコババ着服の背景には、人の心理的な隙が存在します。
「不公平を感じる」「多少なら問題ない」といった自己正当化や、「今だけ」「後で返せばいい」という軽い気持ちが、不正を助長します。
また、悲しみの中で冷静さを欠き、金銭的利益を優先してしまう状況も、行為を助長する要因です。
こうした心理を理解し、あらかじめ防止策を講じることが大切です。

まず、故人の財産状況を正確に把握し、現金や貴金属などの所在をリスト化します。
遺言書の確認や相続人全員での財産目録の共有により、透明性を確保することが重要です。
また、整理の範囲や進め方について事前に話し合い、合意形成をしておくことで、不正の機会を減らせます。
誰がいつどのように整理を行うかを明確にし、作業の責任者を定めておくことも有効です。
業者を選ぶ際は、許認可(古物商許可・一般廃棄物収集運搬業許可など)の有無を確認し、口コミや実績をチェックしましょう。
見積もり内容が詳細で料金体系が明確か、追加費用や補償制度の有無も重要なポイントです。
契約書には、作業範囲や損害賠償保険の加入状況、秘密保持義務が明記されているかを確認します。
不明点をそのままにせず、納得してから契約することがトラブル防止の基本です。
整理作業には、できる限り家族や信頼できる第三者が立ち会うようにしましょう。
現金や貴重品がありそうな場所を事前に確認し、作業員にも伝えることが重要です。
作業過程を写真や動画で記録し、不審な行動が見られた場合はすぐに作業を中断し、業者や警察に相談します。
こうした小さな注意の積み重ねが、不正を未然に防ぐ最も確実な方法です。

遺品整理は、故人への感謝と敬意を込めて行う大切な時間です。
しかし、その裏で起こり得るネコババ着服のリスクを軽視することはできません。
事前の準備と情報共有、信頼できる業者の選定、そして作業中の立ち会いによって、リスクを最小限に抑えることができます。
冷静で慎重な対応を心がけることで、故人の遺志を守り、ご家族が安心して次の一歩を踏み出せる遺品整理を実現できるでしょう。